なぜつたえる負担を軽くしようと思ったのか
今回はなぜ精神的被害をつたえる負担を軽くする取り組みを行なっているのかについてご説明します。
本来であれば、全く被害に遭わないで済むのが理想のはずですが、何らかの不可抗力で被害を被った場合、加害者は取り締まられ、ペナルティを受けるのが社会正義的には正しいはずです。ところが、告発・証言に際してかかる心理的負荷など2次被害的要素を加味すると泣き寝入りした方がマシという状況が生まれます。
おそらく、私達が痴漢やセクハラ、その他精神的被害などの事案に接したときに感じる憤りやモヤモヤした感情というのは、被害者に対してかかる告発・証言時の負荷があまりにも大きいことにより、本来「加害者がペナルティを受けるべき」ところが「泣き寝入りした方がマシ」になるという理不尽さによるものと考えています。そしてその理不尽がまかり通る状況を解消することが、このアプリのミッションとなっています。
この理不尽を解消する上で大きな障害になっているのが、下記の2点になります。
- 告発・相談する先の窓口の不備・不足
- 精神的被害を伝える困難さ
被害者視点での窓口はほぼ皆無
窓口の不備・不足については、以前、警察や鉄道会社に痴漢発生時の通報先について電話でヒアリングしたところ、全く実効性のある受け入れ体制が無いことにかなり驚きました。このあたりについてはかなりボリュームを割かないと充分な議論ができないため別途記事にしますが、少なくとも被害者視点での窓口はほぼ皆無と言っていいのが現状だと考えています。
精神的被害を伝える困難さを解消する
窓口の拡充に関しては規模や時間がかかる話になるため、まずは手の届く範囲でできることからから・・・ということで、このアプリでは「精神的被害を伝える困難さ」の解消に取り組むことにしました。
痴漢のような精神的被害を誰かに伝えるとなると様々な心配や不安、また物理的な負担があると思います。
- 怖い
- 言語化して説明するのが難しい
- 思い出すこと自体がつらい
- 信じてもらえない
- 笑われる
- 恥ずかしい
- 自分にスキがあるから被害に遭うんだと言われる
- 的確に事実を伝達できない
- どれくらい嫌な思いだったかの程度が100分の1も理解してもらえない
- 誰にどう伝えればいいのかわからない
- 被害を受けた側が訴えるために時間や労力を割かなければいけない
次回の記事では、これらの負担を少しでも軽くするためにどのような思想で機能を設計したのかをご紹介する予定です。